良い睡眠をとるには

最近、このような質問をお受けすることが多いので少し解説しておきたいと思います。
以前に睡眠と動脈硬化の関係について書きましたが、不⼗分な睡眠はさまざまな⽣活習慣病や精神症状の悪化につながります。平均では7時間前後が必要と⾔われていますが、個⼈差が⼤きいため⽇中に疲れや眠気を感じないくらいであればよしとしましょう。絶対にこの時間以上寝ないといけないということはないですし、こだわりすぎはかえって不眠を招きます。眠れない、⽇中も疲れるという⽅に、睡眠時間だけが多すぎて睡眠の質が低下している⼈が多くみられます。1時間早く起きてみたらと提案するだけで、翌⽇から良質な睡眠に変化して気分が改善する場合も多いです。以下に睡眠の質を⾼めることを記してゆきます。
1)早起き→早寝
逆のように思われますが、早起きをしてきちんと朝の⽩⾊光を浴びた⼈には良いことがあります。⽇中の覚醒度があがるだけでなく、⼣⽅以降に睡眠誘発物質であるメラトニンが脳内で放出されて眠りにつきやすくなります。朝⽇を浴びることで、抑うつ気分が改善することもよく知られています。
2)昼寝は15時前に30分まで
適切な昼寝は推奨されます。⽇中の15分睡眠は夜の1時間分に相当しますから、午後の
performanceをあげるのにはもってこいです。できれば時間を決めて短時間の昼寝をしましょう。椅⼦の上でこっくりでも⼗分です。習慣になるとその時間に眠くなり、時間になると目覚めるようになります。
3)軽い運動をしましょう。
寝る前の2時間は運動はしないほうがよいのですが、それ以外の時間で30分程度の早歩きでよいですからやってみましょう。朝の時間に光を浴びながらするのが最も効果的ですから、通勤の途中でも⼀駅前で降りて歩くのがよいでしょう。totalで30分なので、会社の往復で各15分でもよいかと思います。仕事が終わって夜8時からジムでガシガシ運動するのは逆効果です。
4)カフェインの⼊った飲料や⾷べ物は、午後3時以降は避けるようにしましょう。
5)寝る前の2時間は、飲酒や喫煙は避けてください。寝酒で⼊眠する⼈が多いようですが、睡眠の質は⼤幅に低下してかえって疲れが蓄積してしまいますし、アルコール依存症を引き起こす原因にもなります。
6)⼊眠前の1-2時間の過ごし⽅は重要です。
できるだけPCや携帯などblue lightを発する機器は⾒ないようにしてください。夜の光は、睡眠誘発物質を⽌めてしまいます。夜にコンビニに⾏くだけ、夜間に携帯で時間を確認しただけで⼊眠できなくなる⼈もいます。部屋の照明も間接照明に切り替えましょう。お風呂に⼊って温まり、湯冷めしないうちにベッドに⾏きましょう。体から放熱が起きるときが最も⼊眠しやすくなります。湯冷めしてしまったり、シャワーだけではかえって覚醒してしまいます。寝床は寝るためだけに使い、⾳楽や本も禁⽌です。寝室の光、温度、湿度などが快適な状態になるように気を配りましょう。できれば遮光カーテンを使って、しっかり部屋を暗くしましょう。
7)寝つけないときは⼀度おきましょう。別の部屋に⾏き、間接照明下で軽い雑誌などをめくって、10分位したらまたベッドに戻るを繰り返してください。2-3度繰り返すと⾃然に寝てしまうことが多いです。起き出した時に、少しの⽜乳やおかゆを温めてお腹に⼊れると良いときもあります。⼀度温まった体からの放熱効果で寝付けます。
8)寝床に悩み事や仕事上での考えことなどは持ってゆかないことです。⼼配であればメモにでも書き出して、翌⽇に回してしまってください。
9)以前、このブログでも紹介した⾃律訓練法(不安とその対処法、の項をみてください)を、寝る前に15分くらいかけてゆっくり⾏いましょう。⼀⽇の活動がoffになり、
眠りモードに切り替わります。
10)睡眠は⽣活習慣です。また、脳に覚えさせることのできる記憶の⼀種です。上記1)-9)に気を付けながら⾃分に最もあった習慣を⾝に着けるようにしましょう。当院では睡眠・⽣活記録表を使った指導を⾏っていますので、お薬などに頼る前に是非⼀度お尋ねいただければと思います。