今⽇は、⼩津安⼆郎監督の「東京物語」をテレビでやっていて久しぶりに観ました。私は、⼩津の⼤ファンで全作品を観ていますけどやはりこの映画が最⾼ですね。広島の尾道から⽼夫婦が東京で働く⼦供たちに会おうと上京するのですが、⼦供達は皆それぞれの⽣活に精⼀杯で、かつ⾃⼰中⼼的で、戦死した次男の嫁(先⽇亡くなった原節⼦が演じています)だけが、優しくもてなしてくれるのです。旅⾏から戻り、⺟親は脳卒中で亡くなるのですが、⼦供達は、その葬式の場でさえ、⺟の絣の着物が欲しいとか、仕事もあるからと⽗親をほったらかしにして帰ろうとするのです。映画の最後のほうで⼀番下の娘が、他の兄弟の仕打ちに涙してこの嫁に訴えるのですが、それに対して「世の中は嫌なことばっかり、でも仕⽅ないの、みんなそうなるの」と答えさせています。それをみて、ああなるほどなあと今⽇は思えました。⼈間がオギャーと泣きながら⽣まれてくるのは、この世を⽣きることは⾟いことばかりだからなんです。この世では、⽣、病、⽼、死の、四苦に⼈間はいつも苦しめられていますよね。つまりこの世⾃体が全くの地獄なんです。我々は、それを悟った上でマイナス思考から始めることで、何とかこの⼈⽣をねじ伏せて⽣きてゆくことができるのです。地獄であることを深く認識できれば、他⼈の⼩さな親切や導きにたくさん感謝することができて、その光を頼りとして進んでゆけるのです。明⽇も地獄が待っていますように︕