こころに効く漢⽅薬

最近当院を受診する患者さんには、以下のような病態、症状を呈する⽅が多いようです。診断名としては、うつ病、不安障害、パニック障害、適応障害など、症状として多いのが気分の落ち込みや気⼒低下、息苦しさや胸がつまる感じ、動悸、過呼吸発作、冷汗、思考の混乱、著しい恐怖感(気が狂うのではないか、死ぬのではないか)、イライラ、抑えがたい怒りや恨みの感情、不眠などが⾒られます。治療として抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬を⽤いますが、最近ではそれらに加えて漢⽅薬を処⽅することが増えています。それによって薬の量を最低限に抑え、副作⽤の少ないより安全な治療が可能になります。また、漢⽅薬には、⻄洋薬では改善しにくい漫然とした症状を劇的に改善して患者さんから⼤変喜ばれることもあります。上記の症状に対してよく使っている漢⽅は以下の通りです。
紫胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
うつ傾向が⻑引いていて、体⼒的にも弱っている⽅に使います。
紫胡加⻯骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
動悸、息苦しさなど不安症状が中⼼で、⽐較的体⼒のある⽅向きです。男性に多く処⽅します。
桂枝加⻯骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
紫胡加⻯骨牡蠣湯と同じですが、体⼒のない⽅、特に⼥性向きの薬です。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
不安症状のひとつとして、のどがつまる、胸が重苦しく違和感が強い場合に使います。
劇的に改善することが多いです。
抑肝散(よくかんさん)ないし抑肝散加陳⽪半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
他⼈から理不尽な扱いを受けて、いらいらや怒りのおさまらない⽅の気持ちを安定化します。

ご存じのように漢⽅には様々な種類のお薬があります。精神疾患のみならず⾝体の病気の治療にも使いこなせるようになりたいものです。