時効性製剤(デポ剤)

前回の勉強会では時効性製剤(デポ剤)についてのお話がありました。あまり聞きなれない⽅もおられると思いますので今回のテーマとして取り上げました。デポ剤とは、2週ないし1か⽉に⼀度だけ筋⾁内に注射することでその効果が⼀般の服薬と同等に持続するものです。現在までに最近多⽤される非定型抗精神病薬としては2剤、そして今週さらに1剤が追加されます。これらはリスペリドン(リスパダール)、パリペリドン(インベエガ)、アリピプラゾール(エビリファイ)で、全て統合失調症の薬です。以前から定型抗精神病薬(第⼀世代とも呼ばれ、少し古い薬)でのデポ剤は存在していましたが、副作⽤の点で問題もあり、またこのような薬物を患者さんに無理やり投薬して管理してしまうのは⼈権的に問題があるのではなどの偏⾒があり、⼀時この剤型はすたれかけていました。
しかし、統合失調症の患者さんの中には病識に乏しく、副作⽤を嫌がり、またきちんと服薬することが病気のため困難であるという⽅達が多くいて、それらの問題を改善するデポ剤が再発予防に有効であることがわかってきました。また患者さんの中には、社会復帰も目指しておられる⽅もおり、そのような⽅には、⽇中服薬しないでいられて仕事やプライベートな⽣活を充実させることのできるという⾯でデポ剤は有⽤であると思います。さらに⾔えば、デポ剤への切り替えで副作⽤も軽減でき、症状のさらなる改善が得られる患者さんが多くいることも確かです。おそらくデポ剤投与後の薬剤の⾎中濃度が安定していることが⼤きな要因でしょう。私も病院勤務医時代から、多くの患者さんがデポ剤によってよりよい⽣活を送れるようになることを経験してきました。上記のお薬を服薬しているが、なかなか症状コントロールが、社会⽣活がうまくゆかない患者さんは⼀度ご相談いただければと思います。