今回は精神科クリニックでよくみられる体の症状に効果のあるものの中で、桂枝茯苓丸という漢⽅薬をご紹介いたします。
桂枝茯苓丸は、⼥性の患者さんを中⼼に最近よく処⽅しています。⾎液の流れの悪さ(瘀⾎=おけつ、という状態)を改善する活⾎化作⽤を持ち、駆瘀⾎剤(瘀⾎を駆逐するという意味)と呼ばれます(他にも何種類か同様の漢⽅薬があります)。
様々な状態で瘀⾎状態が引き起こされますが、よくみられるのは動悸、⽉経前の緊張状態(うつ的になったりイライラしたりします)、⽉経困難症や⽉経痛、さらにはいわゆる更年期障害(うつ、ほてり(特に上半⾝の)、発汗、冷え(特に下半⾝の)など)です。桂枝茯苓丸は、活⾎化作⽤によりこれらの症状を改善します。
躁うつ病、うつ病などの気分障害を持つ患者さんでは、イライラやうつの症状が⽉経の周辺や更年期に悪化しやすく、時には⾃殺などの深刻な問題⾏動に発展することもよくみられるので、向精神病薬に加えて本剤のような漢⽅薬をうまく併⽤して、⼼⾝両⾯からきちんと治療することが重要です。当院では初診の段階で必ず⽉経関連の症状について問診したり、瘀⾎の証(瘀⾎を⽰唆する⾝体症状、特に右前腕の圧痛点)について必ず確認をおこなって、治療薬剤の選択に役⽴てています。