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スマホと睡眠

どう考えてもスマホは人類最悪の発明でしょうね(と私は思います)。開発する前にどうしてもう少し考えられなかったのかなあ。人間は、目先の利益に飛びつくばかり、愚かで浅知恵しか働かない動物(それ以下?)ですなあ。
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「寝室でのスマフォ」に警笛【米国小児科学会】

寝室でのスマフォ利用は子どもの睡眠に有害

米国学会短信2015年1月22日 (木)配信 一般内科疾患小児科疾患精神科疾患

 米国小児科学会(AAP)は1月5日、自室にスマートフォンなどの「小さな画面」があるケースでは、就寝時間が遅く睡眠時間も短いとする研究を紹介した。Pediatrics誌2015年2月号(1月5日オンライン版公開)に掲載。

 本調査では、4-7年生2048人を対象に、就寝時刻、起床時刻、眠気と寝室にテレビやスマートフォンなどの小さな画面があるかどうかについて調査した。その結果、寝るとき近くにスマートフォンなどを置いていたり、寝室にテレビがある子どもは平日の睡眠時間が短く、スマートフォンなどの近くで寝る子どもの方が睡眠不足の訴えが多かった。また、TVやDVDの視聴やゲームも平日の睡眠不足や眠気に関連。睡眠環境に「画面」がある子どもは、その画面を見ている時間が長く、就寝時間が遅いことも分かった。

 この結果について研究者は、「子どもが寝室で『画面による』メディアに自由にアクセスできる環境に警鐘を鳴らすもの」と結論付けている。

寝る前はブルーライトは避けましょう

 20~30代の半数以上が、就寝直前までスマートフォンなどの携帯端末を使い、そのうち約7割で不眠症の疑いがあることが味の素(東京)の調査でわかった。若者の「スマホ依存」が睡眠に影響していることを示しており、専門家も警鐘を鳴らす。

 今年8月にインターネットで調査を実施、20~70代の男女計1200人から回答を得た。

 就寝時のスマホやタブレットの利用状況を聞いた質問では、412人(34%)が「就寝直前まで利用している」と回答。年代別では、20代が59%、30代が57%と半数を超えた。そのうち20~30代の67%が、寝付きや日中の眠気など八つの質問からなる国際的な不眠尺度で「不眠症の疑い」に該当した。

 調査を監修した睡眠総合ケアクリニック代々木(東京)の大川匡子(まさこ)理事(睡眠精神医学)によると、端末画面のLEDに多く含まれるブルーライトが睡眠の妨げになるほか、興味のあるサイトを見続けると、脳への刺激となり、不眠につながりやすくなると考えられる。大川さんは「寝る約2時間前までには使用を控え、リラックスした状態でベッドに入ることが望ましい」と指摘する。

寝溜めは健康に悪い!気をつけましょう。

「休日に寝だめ」は危険で絶対NG!心筋梗塞や脳卒中の恐れ 寝不足のほうが健康的!

 11月18日、アメリカの学術誌「Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」オンライン版に、「『習慣的な睡眠』を変化させると、心血管疾患や糖尿病などの長期的な健康問題を喚起する恐れがある」という研究結果が発表された。

 同研究では、米ピッツバーグ大学の研究グループが447人の健康な中年層を対象に7日間、健康状態と睡眠習慣や食生活を調査した。その結果、いわゆる平日の睡眠スケジュールを休日も持続している被験者は1人もいなかったという。被験者の約85%が休日は通常より遅くまで寝ており、平均44分間長く寝ていたようだ。

 そして、同研究によると、平日と休日の睡眠スケジュールの変化が大きければ大きいほど、代謝系の健康問題への影響が大きくなるという。睡眠スケジュールの違いが、血中脂質の増加やBMI(肥満度)の上昇、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の減少などと一致しており、この相関関係は、運動やカロリー摂取量、飲酒など、ほかの健康要因を調整した後も変わらなかったという。

 平日の睡眠不足を補うために、週末は長く眠る――。このような毎週の睡眠スケジュールの変化は、体内時計を狂わせることにつながり、健康問題を引き起こす恐れがある、と同研究グループは推測している。

 睡眠時間の変化が健康に及ぼす悪影響について、新潟大学名誉教授の岡田正彦氏は以下のように語っている。

「昔から、健康の維持には『恒常性』が大切だといわれてきました。人間は、体内環境を一定に維持して初めて、健康が保てるようにできているということです。そして、そのためには、環境や習慣、日々の生活リズムが一定でなければなりません。

 最近、この恒常性の大切さを示す研究が多く行われています。例えば、アメリカで行われた調査によれば、『寒冷地』に生まれ育った人が『暑い地域』に移住する、あるいはその逆の場合、健康寿命(介護などの必要がなく、健康的に日常生活を送れる状態)が少し短くなってしまうそうです。

 また、ドイツの調査では、夏と冬で時計の針を遅らせたり進めたりする、いわゆる『夏時間(daylight saving time)』を実施している地域で、心筋梗塞の発生率が少し高くなっていることもわかりました。また、睡眠障害も起こりやすくなるようです」

© Business Journal 提供
●一番健康な睡眠時間は6時間?

 環境やリズムが変化することによって、体内に大きな変化が表れるようだ。また、睡眠と健康の関係性について、岡田氏自身も大規模な学術調査を行ったことがあるという。

「検査法の進歩により、今はエコー検査で簡単に動脈硬化症の判定ができるようになりました。そこで、この方法を使い、人間ドックを定期的に受診している2214人の協力を得て、睡眠時間と動脈硬化症の関係を調べたのです。

 それによって、意外な事実がわかりました。最も健康的だったのは『1日の睡眠が平均6時間』の人たちで、それ以上寝ている人たちは、動脈硬化症になる割合が明らかに大きかったのです。逆に、寝不足の人たちは意外と健康的で、動脈硬化症も少ないことがわかりました。動脈硬化症は、心筋梗塞や脳卒中などのもとになる状態です。したがって、それらの病気は生活習慣と直結していることになります。

 つまり、健康のためには睡眠や食事などの生活リズムを毎日一定に保つことが大切であり、たとえ休日でも、ダラダラ寝過ごしてはいけないということです。いわゆる『寝だめ』も、無意味どころか逆効果だったということですね」(岡田氏)

 多忙なビジネスパーソンにとって、休日の朝ぐらいはまどろみの中で過ごしたいものだ。しかし、その誘惑を断ち切り、目が覚めたらサッと起きることこそが、健康への近道のようだ。

良い睡眠をとるには

最近、このような質問をお受けすることが多いので少し解説しておきたいと思います。
以前に睡眠と動脈硬化の関係について書きましたが、不十分な睡眠はさまざまな生活習慣病や精神症状の悪化につながります。平均では7時間前後が必要と言われていますが、個人差が大きいため日中に疲れや眠気を感じないくらいであればよしとしましょう。絶対にこの時間以上寝ないといけないということはないですし、こだわりすぎはかえって不眠を招きます。眠れない、日中も疲れるという方に、睡眠時間だけが多すぎて睡眠の質が低下している人が多くみられます。1時間早く起きてみたらと提案するだけで、翌日から良質な睡眠に変化して気分が改善する場合も多いです。以下に睡眠の質を高めることを記してゆきます。
1)早起き→早寝
逆のように思われますが、早起きをしてきちんと朝の白色光を浴びた人には良いことがあります。日中の覚醒度があがるだけでなく、夕方以降に睡眠誘発物質であるメラトニンが脳内で放出されて眠りにつきやすくなります。朝日を浴びることで、抑うつ気分が改善することもよく知られています。
2)昼寝は15時前に30分まで
適切な昼寝は推奨されます。日中の15分睡眠は夜の1時間分に相当しますから、午後のperformanceをあげるのにはもってこいです。できれば時間を決めて短時間の昼寝をしましょう。椅子の上でこっくりでも十分です。習慣になるとその時間に眠くなり、時間になると目覚めるようになります。
3)軽い運動をしましょう。
寝る前の2時間は運動はしないほうがよいのですが、それ以外の時間で30分程度の早歩きでよいですからやってみましょう。朝の時間に光を浴びながらするのが最も効果的ですから、通勤の途中でも一駅前で降りて歩くのがよいでしょう。totalで30分なので、会社の往復で各15分でもよいかと思います。仕事が終わって夜8時からジムでガシガシ運動するのは逆効果です。
4)カフェインの入った飲料や食べ物は、午後3時以降は避けるようにしましょう。
5)寝る前の2時間は、飲酒や喫煙は避けてください。寝酒で入眠する人が多いようですが、睡眠の質は大幅に低下してかえって疲れが蓄積してしまいますし、アルコール依存症を引き起こす原因にもなります。
6)入眠前の1-2時間の過ごし方は重要です。
できるだけPCや携帯などblue lightを発する機器は見ないようにしてください。夜の光は、睡眠誘発物質を止めてしまいます。夜にコンビニに行くだけ、夜間に携帯で時間を確認しただけで入眠できなくなる人もいます。部屋の照明も間接照明に切り替えましょう。お風呂に入って温まり、湯冷めしないうちにベッドに行きましょう。体から放熱が起きるときが最も入眠しやすくなります。湯冷めしてしまったり、シャワーだけではかえって覚醒してしまいます。寝床は寝るためだけに使い、音楽や本も禁止です。寝室の光、温度、湿度などが快適な状態になるように気を配りましょう。できれば遮光カーテンを使って、しっかり部屋を暗くしましょう。
7)寝つけないときは一度おきましょう。別の部屋に行き、間接照明下で軽い雑誌などをめくって、10分位したらまたベッドに戻るを繰り返してください。2-3度繰り返すと自然に寝てしまうことが多いです。起き出した時に、少しの牛乳やおかゆを温めてお腹に入れると良いときもあります。一度温まった体からの放熱効果で寝付けます。
8)寝床に悩み事や仕事上での考えことなどは持ってゆかないことです。心配であればメモにでも書き出して、翌日に回してしまってください。
9)以前、このブログでも紹介した自律訓練法(不安とその対処法、の項をみてください)を、寝る前に15分くらいかけてゆっくり行いましょう。一日の活動がoffになり、
眠りモードに切り替わります。
10)睡眠は生活習慣です。また、脳に覚えさせることのできる記憶の一種です。上記1)-9)に気を付けながら自分に最もあった習慣を身に着けるようにしましょう。当院では睡眠・生活記録表を使った指導を行っていますので、お薬などに頼る前に是非一度お尋ねいただければと思います。

睡眠は大切ですよ

良質な睡眠を7時間は確保することが、動脈硬化を予防し心筋梗塞や狭心症を予防します。みなさんももう一度ご自分の睡眠や生活習慣を見直してください。当院でも必要な生活指導をしていますので、睡眠の問題でお悩みの方は是非お尋ねください。

低質な睡眠は心リスクを上昇させる【米国心臓協会】
1日7時間の質の高い睡眠が最良
米国学会短信2015年9月25日 (金)配信 一般内科疾患循環器疾患
 米国心臓協会(AHA)は9月10日、質の低い睡眠習慣は心疾患のリスクを高めるという、「Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology」誌に掲載された研究論文をホームページで紹介した。

 研究では、質問票で若年および中年成人4万7000人以上に睡眠に関する質問に答えてもらい、併せて冠動脈石灰化スコアを用いて初期冠動脈病変を、また上腕-足関節間脈波伝播速度 (PWV) で動脈硬化の進行度を評価した。

 その分析の結果、睡眠時間が1日7時間の群と比較すると、1日5時間以下の群では多変量調整冠動脈石灰化スコアが50%高いことが分かった。睡眠時間が1日9時間以上の群でも1日7時間の群に比べ同スコアが70%以上高かった。

 また、睡眠の質が低いと回答した群では、質が高いと回答した群より、冠動脈石灰化スコアが20%以上高くなっていた。

 動脈硬化の進行度についても同様のパターンがあり、睡眠の質が低い群は1日7時間睡眠、または睡眠の質が高い群より、動脈硬化が進行している傾向が認められた。全体として、1日7時間睡眠で睡眠の質が高い群では血管障害の程度が最も少なくなっていた。

 研究者らは、適切な質と量の睡眠が心臓の健康維持に重要であることが示されたとして、「患者の心血管リスクや健康状態の評価に睡眠の質の評価が必要になるかもしれない」と述べている。 

 同研究には、睡眠の時間と質を自己評価してもらったために心血管リスクが過小評価された可能性があるという限界がある。