うつ病の患者さんには、病前から特徴的な性格傾向が存在するとこがわかっていますし、日々臨床をやっているとなるほどと頷かせることと多く出会います。うつ病の治療は、抗うつ薬が主体ですが、このような性格特徴を正確に把握することで有効な精神療法が可能となります。
では分かりやすくリストアップしてみましょう。
1) 執着気質
物事や対人関係のささいなトラブルにとらわれ、融通性が乏しく、いつまでも嫌な感情をひきずってしまう性格です。
2) 過度の協調性
他人の評価が気になり、自己主張が苦手な性格です。常に他人の顔色ばかりを伺うのでとても疲れやすくなりますが、特に仕事などでミスをおかした時などに「自分のせいだ、人に迷惑をかけてしまう、申し訳ない」と自責的になってしまうことが多いです。また、明らかに相手が悪いのに、その人に意地悪なことを言われるともしかして自分にも非があるのではと勝手に考えてしまいます。
3) 強迫性
自分は絶対にこうあるべき、なぜ他人は自分の思う通り行動しないのだろうと考えて続けてしまいます。自分の理想なんてその通りに実現することはまず起こり得ませんし、ましてや他人が自分の考えた通りに行動してくれるはずがないので、このような考え方は必ず失望や怒りの感情を引き起こします。
4) 没入性
自分の体力、能力を過信しすぎ、自己モニタリングがうまくできず、ついついやり過ぎてしまう人達がいます。当然、過労や気力もすり減ってしまいますよね。
5) 否定的認知
1)から4)の傾向を持っていると、人間は、自己、周囲の環境、将来について否定的に考え出すようになります。否定的認知の3徴といいます。なにもやっても自分はダメ、周りが変わらないと自分も変われない、お先真っ暗、どうせやっても無駄に違いないと思い始めたら、うつ病にすでに一歩足を踏み込んでいるのかもしれません。
ご自分の性格、行動パターンをもう一度おさらいしてみましょう。