月別アーカイブ: 2015年12月

スマホと睡眠

どう考えてもスマホは人類最悪の発明でしょうね(と私は思います)。開発する前にどうしてもう少し考えられなかったのかなあ。人間は、目先の利益に飛びつくばかり、愚かで浅知恵しか働かない動物(それ以下?)ですなあ。
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「寝室でのスマフォ」に警笛【米国小児科学会】

寝室でのスマフォ利用は子どもの睡眠に有害

米国学会短信2015年1月22日 (木)配信 一般内科疾患小児科疾患精神科疾患

 米国小児科学会(AAP)は1月5日、自室にスマートフォンなどの「小さな画面」があるケースでは、就寝時間が遅く睡眠時間も短いとする研究を紹介した。Pediatrics誌2015年2月号(1月5日オンライン版公開)に掲載。

 本調査では、4-7年生2048人を対象に、就寝時刻、起床時刻、眠気と寝室にテレビやスマートフォンなどの小さな画面があるかどうかについて調査した。その結果、寝るとき近くにスマートフォンなどを置いていたり、寝室にテレビがある子どもは平日の睡眠時間が短く、スマートフォンなどの近くで寝る子どもの方が睡眠不足の訴えが多かった。また、TVやDVDの視聴やゲームも平日の睡眠不足や眠気に関連。睡眠環境に「画面」がある子どもは、その画面を見ている時間が長く、就寝時間が遅いことも分かった。

 この結果について研究者は、「子どもが寝室で『画面による』メディアに自由にアクセスできる環境に警鐘を鳴らすもの」と結論付けている。

診療報酬改定

診療報酬は2年ごとに改定になりますが、来年の改定では全体としてはマイナス改定となりました。診療報酬とは、大まかに言えば医療費を国に求めるシステムのことで、薬に対するものと診療技術料に関するものの2つに分かれます。今回の改定では、前者を大幅に削り、後者を微増させるというものでした。先日のNHK報道で、まるでこれが医者の給与が上がるかのように報道されていて、キャスターの無知ぶりに唖然とさせられました。技術料とはいえ、おそらくごくわずかな部分への手当があがるだけで、初診料や再診料が上がるわけではないのです。精神科では、その他の科に比較して多めの診察料が設定されているのですが、皆さんもご存じの通りで、診察には実に長い時間を要します。ばかばかしいことに、5分の診察と30分以上の診察でわずか700円の違いしかないのです。皆さんは1-3割負担ですから70-210円の違いになります。このようなわずかな料金で我々精神科医は診察を強いられているわけで、当然ながら短時間、低コストの医療がまかり通ることになります。また、これらの診察料は、経験を積んだ精神科医であっても大学出たての研修医であっても全く同じです。一見、国民に安価な医療が平等に与えられているように見えますが、内実は安かろう悪かろうがまかり通るのです。当院では、患者さんのニーズに応じてできるだけの手当をしているつもりですが、患者さんも大きな問題がないときはできるだけ時間を短くしたり、要点をまとめてくるなどの努力をしていただき、お互いに譲り合い精神を発揮していただければと思います。私は、1日に40人近くの方の診察をしています。一日の終わりには、頭は豆腐状態、もう誰とも話したくなくなりますね。これは外国ではありえないことです。どんなに多くても7-8人を1日でしっかり診て、精神科医の生活が十分成り立つのがスタンダードなのです。日本の精神科医は疲弊していますし、また熟練した医師であっても患者さんへ与えられる医療の質も全く低くならざるを得ないのが現状で、今後さらに改善が求められます。

四苦

今日は、小津安二郎監督の「東京物語」をテレビでやっていて久しぶりに観ました。私は、小津の大ファンで全作品を観ていますけどやはりこの映画が最高ですね。広島の尾道から老夫婦が東京で働く子供たちに会おうと上京するのですが、子供達は皆それぞれの生活に精一杯で、かつ自己中心的で、戦死した次男の嫁(先日亡くなった原節子が演じています)だけが、優しくもてなしてくれるのです。旅行から戻り、母親は脳卒中で亡くなるのですが、子供達は、その葬式の場でさえ、母の絣の着物が欲しいとか、仕事もあるからと父親をほったらかしにして帰ろうとするのです。映画の最後のほうで一番下の娘が、他の兄弟の仕打ちに涙してこの嫁に訴えるのですが、それに対して「世の中は嫌なことばっかり、でも仕方ないの、みんなそうなるの」と答えさせています。それをみて、ああなるほどなあと今日は思えました。人間がオギャーと泣きながら生まれてくるのは、この世を生きることは辛いことばかりだからなんです。この世では、生、病、老、死の、四苦に人間はいつも苦しめられていますよね。つまりこの世自体が全くの地獄なんです。我々は、それを悟った上でマイナス思考から始めることで、何とかこの人生をねじ伏せて生きてゆくことができるのです。地獄であることを深く認識できれば、他人の小さな親切や導きにたくさん感謝することができて、その光を頼りとして進んでゆけるのです。明日も地獄が待っていますように!

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最近の本

五木寛之の大河の一滴、お勧めします。
人間は、皆大河を流れる水の一滴である。ある時はゆっくり、またある時は急流となって大海に注ぎ、その水が蒸発して天にのぼり、再び雨となって大河の源に注ぐのだそうです。我々の頭上には、何か、我々人間ごときがジタバタしてもどうしようもない、大きな力が注いでおり、全ての人間は、その定められた運命から逃れることはできず、ただただ流れてゆくだけなんですね。ですから、過去や未来にとらわれて、嫌な思い出に怒ったり、起こってもいないことに不安になったりすることは全く無意味で、今を生きるしかないんですね、どんな状況に陥っても。

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医療費節減

既にうがい薬単独の投与は制限されましたが、さらに湿布薬、ビタミン剤も制限されるようです。
私は、これは大変理にかなっているし節約になると思いますね。これらの薬はドラッグストアで買いましょう!保険で賄う財源も理由もありません。

 湿布薬、「何日分か」も記載
 2015年6月に閣議決定した「骨太の方針2015」と「規制改革実行計画」は、「市販品類似薬」の保険給付の在り方を見直すよう求めている。その対象として挙がったのが、湿布薬と脂溶性ビタミン製剤だ。

 調剤メディアスによると、湿布薬が処方されている処方せんのうち、「70枚」を超えるケースが、8.9%を占める(2015年4月審査分)。都道府県によって差が大きく、新潟県では約18%に上る一方、山口県では0%に近い。厚労省は、「レセプトにおいて処方された湿布薬が何日分に相当するかを掲載」することを提案。外用薬については現在、投薬全量を記載すれば、用法の記載は省略が可能だ。

 健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「基本的には湿布薬については保険適用から除外すべき」との原則を述べた上で、「1回の処方は、70枚までという要件を設け、それが何日分に該当するのかをレセプトに明記すべき。さらに1回70枚を超えて処方する場合には、その理由を明確に記載すべき」と提案。

 一方、日医副会長の松原謙二氏が、70枚を超える場合に、何日分かを記載するのはあり得るとしたものの、それ以下の分については、記載に手間がかかるなどとし、湿布薬の使用制限に難色を示した。

 合成ビタミンD製剤、2012年度改定以降「急増」
 ビタミンB群製剤とビタミンC群製剤については、従来から「単なる栄養補給目的」での使用を認めていなかったが、2012年度改定で、全てのビタミン製剤に対象を拡大。改定以降、脂溶性ビタミン製剤のうち、ビタミンEとKの製剤の薬剤料は減少しているものの、ビタミンAとDの製剤については増加、特に合成ビタミンD製剤の増加が著しい。同製剤は通常、単なる栄養補給目的ではなく、骨粗鬆症等の治療に用いられる。

 幸野氏は、「食事から摂取できる場合には、単なる栄養補給目的のビタミン製剤の使用は、保険給付不可とすべき」であり、ビタミン製剤を算定できる疾病名を明確にするよう提言。

 これに対し、松原氏は、「治療目的で使われている場合には認めるべき。単純に脂溶性ビタミン製剤が悪いという話ではない」と述べるなど、丁寧な議論を求めた。

生まれ変わったら医師をやりたいか?

以下に色々ご意見もでてますが。
ちなみに私は、生まれ変わったら映画監督になりたいですね。今の精神科の仕事は、たくさんの人の人生に携わることができて充実していると思いますが、時に自分がすり減るように疲れることもあるんですよ。グチってすいません。

・この仕事以外知らない。
・自分に合っている。
・天職だと思うので。
・技術があれば、色々な勤務先で重宝されるためです。会社員だと何をもって仕事ができるかとかの評価が良く分からないです。自身は放射線科ですが、画像が読めるかどうかで仕事量や収入が変わるので、自分に合っていればやりがいもあり、楽しいです。
・勉強だけが取り柄だが、勉強すればするほど人の役に立てる。
・それ以上が思いつかない。
・高収入・やりがいがある仕事の「はず」だから。
・これ以上稼げる職業はない。
・やりがいがあり、資格があれば、女性でもある程度の収入が見込めるのと、復職しやすい。
・仕事はやりがいを感じる。
・良い職業です。
・この職業が向いていると思うから。
・病気を治したいから。
・やはり人の役に立つことは生きがいになる。
・良い仕事です。
・天職だと思っている。
・収入もあり、仕事もやりやすい。
・日本で医師になるのであればリスクの低い他診療科を選んでいるか、もしくは日本以外の国で医師を行っていると思います。
・やりがいがあるから。ただし、専門は変えたいと思う。
・医師もいいが、他の職種も考慮する。
・別に「いいえ」と答える理由がないから。
・しんどいですがやりがいがあるからです。患者さんの良くなる姿だけが心の支えです。人助けで、お金をもらえる数少ない職業だから。
・(他にもあるかもしれないが)やりがいのある職業。
・安定している。就職先に不便しない。
・専門性が高くやりがいがある。
・まだまだやり足りないことがある。
・それなりにやりがいがあることと収入もある程度あることから。
・悪くない仕事だと思う。仕事はどれも大変だから。
・やはり医師という仕事に魅力を感じているから。
・医師でもいいが、研究に専念する医師になりたい。
・これしかできそうにないです。
・性格的に会社勤めは難しそう。
・別の仕事でも不満があるでしょうから、まだ医師でもいいかなと思っている。
・この仕事が好きだから。
・向いてなくはないから。
・他人とのコミュニケーションをとることが苦手ですので、他の生き方は難しいと思います。
・やりがいを感じる。責任感・使命がある職業だと思います。
・まあ向いていると思う。
・ある程度の性格の幅がカバーできるから。
・今までと違う経過を経験してみたい(大学院入学、留学、無医村勤務など)。
・他の職業に合うほどの自信がない。
・患者さんを救うことができ、やりがいはある。でも他の職業の選択肢を考えると未知数。患者さんに治療の上で喜んでもらいたいから。
・患者が喜んでくれるのはうれしい。
・生命について科学的にも心理的(霊的)にも勉強することができるから。もっと真理を探究できる職種があればそちらを目指すと思います。
・きついがやりがいがある。
・やりがいとある程度の収入が見込める。
・他の仕事で自分に何が向いているか、不明。
・楽しいから。
・今のところ医師免許ほど使える免許もないと思う。プラチナ免許です。
・人の命に係わる仕事は素晴らしいことだと思うので。
・現在の仕事に満足し充実感も得られているため。
・小金持ちにはなれる。仕事に困らない。
・そこそこの収入もあって社会に貢献できる、さらにやりがいもある。そして自身や家族の健康管理にも役立つ。
・収入とやりがいと社会貢献など悪い点が見当たらない。
・今のところ、他になりたい職業が思い浮かばないので。
・正確に言うと今後、医師を取り巻く環境によると思います。現在よりも不利に働く場合は他の職業を考えると思います。今のままであれば、再び医師を目指すと思います。
・他の人にはできないことができるから。ただお金をある程度稼いだら、休む時間がほしい。いつまでもしたいとは思わない。
・医師は、人間そのものを学べる貴重な職業。
・稼ぐことは概ねどの仕事でも大変と心得ていますが、サラリーマンとは多少扱われ方がましと思います。
・いろいろな問題はあるが、やはりやりがいがあるから。
・好きだから。

こんな研究になんの意味があるのか?

癌患者の死期、1質問で6割同定【米国臨床腫瘍学会】
「サプライズクエスチョン」、癌種やステージよりも正確に同定か
米国学会短信2015年10月20日 (火)配信 一般内科疾患一般外科疾患癌
 米国臨床腫瘍学会(ASCO)は10月5日、『サプライズクエスチョン』で死期の近い癌患者を6割同定することができるとした研究を紹介した。2015年度Palliative Care in Oncology Symposiumで発表された。

 サプライズクエスチョンとは1990年に開発された簡単な予後予測ツールで、「この患者が1年以内に亡くなったら驚くか」という質問に医師が自身に問う手法。現在進行中のこの研究では、ダナファーバー癌研究所の医療関係者(腫瘍医、看護師、医師助手)76人を対象に、約5000人の患者について、サプライズクエスチョンを行った。

 その結果、約85%の患者について「驚く」、約15%の患者について「驚かない」との回答が得られた。1年後に「驚く」と回答された患者は、95%が生存していたのに対し、「驚かない」と回答された患者の生存率は62%。サプライズクエスチョンで、1年以内に亡くなる患者について死期を正しく予測できなかった割合は約40%だった。

 サプライズクエスチョンの有用性については限られたエビデンスしかなかったが、「今回の研究において、サプライズクエスチョンの使用により1年以内に死亡した患者の約60%を同定できた」と研究者は説明。さらに、癌の種類やステージなどよりも正確に、1年以内に亡くなる患者の多くを同定できる可能性が示唆されたとの考え方を示している。

尊敬する精神科医、神谷美恵子先生が翻訳された本です。各時代時代を通して、精神病者がどのように扱われ、理解あるいは差別されてきたかを描写しながら、正常と狂気は紙一重であり病者を区別して考えないというヒューマニズムに貫かれた大変重厚感のある本です。みなさんにお勧めしたい本ですが、かなりの根気をもって読まないといけないので、興味がある方は一度書店などでご覧になってみると良いでしょう。
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