日別アーカイブ: 2015/10/17

良い睡眠をとるには

最近、このような質問をお受けすることが多いので少し解説しておきたいと思います。
以前に睡眠と動脈硬化の関係について書きましたが、不十分な睡眠はさまざまな生活習慣病や精神症状の悪化につながります。平均では7時間前後が必要と言われていますが、個人差が大きいため日中に疲れや眠気を感じないくらいであればよしとしましょう。絶対にこの時間以上寝ないといけないということはないですし、こだわりすぎはかえって不眠を招きます。眠れない、日中も疲れるという方に、睡眠時間だけが多すぎて睡眠の質が低下している人が多くみられます。1時間早く起きてみたらと提案するだけで、翌日から良質な睡眠に変化して気分が改善する場合も多いです。以下に睡眠の質を高めることを記してゆきます。
1)早起き→早寝
逆のように思われますが、早起きをしてきちんと朝の白色光を浴びた人には良いことがあります。日中の覚醒度があがるだけでなく、夕方以降に睡眠誘発物質であるメラトニンが脳内で放出されて眠りにつきやすくなります。朝日を浴びることで、抑うつ気分が改善することもよく知られています。
2)昼寝は15時前に30分まで
適切な昼寝は推奨されます。日中の15分睡眠は夜の1時間分に相当しますから、午後のperformanceをあげるのにはもってこいです。できれば時間を決めて短時間の昼寝をしましょう。椅子の上でこっくりでも十分です。習慣になるとその時間に眠くなり、時間になると目覚めるようになります。
3)軽い運動をしましょう。
寝る前の2時間は運動はしないほうがよいのですが、それ以外の時間で30分程度の早歩きでよいですからやってみましょう。朝の時間に光を浴びながらするのが最も効果的ですから、通勤の途中でも一駅前で降りて歩くのがよいでしょう。totalで30分なので、会社の往復で各15分でもよいかと思います。仕事が終わって夜8時からジムでガシガシ運動するのは逆効果です。
4)カフェインの入った飲料や食べ物は、午後3時以降は避けるようにしましょう。
5)寝る前の2時間は、飲酒や喫煙は避けてください。寝酒で入眠する人が多いようですが、睡眠の質は大幅に低下してかえって疲れが蓄積してしまいますし、アルコール依存症を引き起こす原因にもなります。
6)入眠前の1-2時間の過ごし方は重要です。
できるだけPCや携帯などblue lightを発する機器は見ないようにしてください。夜の光は、睡眠誘発物質を止めてしまいます。夜にコンビニに行くだけ、夜間に携帯で時間を確認しただけで入眠できなくなる人もいます。部屋の照明も間接照明に切り替えましょう。お風呂に入って温まり、湯冷めしないうちにベッドに行きましょう。体から放熱が起きるときが最も入眠しやすくなります。湯冷めしてしまったり、シャワーだけではかえって覚醒してしまいます。寝床は寝るためだけに使い、音楽や本も禁止です。寝室の光、温度、湿度などが快適な状態になるように気を配りましょう。できれば遮光カーテンを使って、しっかり部屋を暗くしましょう。
7)寝つけないときは一度おきましょう。別の部屋に行き、間接照明下で軽い雑誌などをめくって、10分位したらまたベッドに戻るを繰り返してください。2-3度繰り返すと自然に寝てしまうことが多いです。起き出した時に、少しの牛乳やおかゆを温めてお腹に入れると良いときもあります。一度温まった体からの放熱効果で寝付けます。
8)寝床に悩み事や仕事上での考えことなどは持ってゆかないことです。心配であればメモにでも書き出して、翌日に回してしまってください。
9)以前、このブログでも紹介した自律訓練法(不安とその対処法、の項をみてください)を、寝る前に15分くらいかけてゆっくり行いましょう。一日の活動がoffになり、
眠りモードに切り替わります。
10)睡眠は生活習慣です。また、脳に覚えさせることのできる記憶の一種です。上記1)-9)に気を付けながら自分に最もあった習慣を身に着けるようにしましょう。当院では睡眠・生活記録表を使った指導を行っていますので、お薬などに頼る前に是非一度お尋ねいただければと思います。